空き家対策シンポジウム2019
空き家についての問題意識醸成を、インパクトのあるかたちで行うため、大学の研究者や、空き家についての著書があるなど、空き家問題の専門家を外部講師として招聘し、更なる啓発活動を行いました。
令和元年10月30日 ビックハート出雲
講演会講師:東洋大学理工学部 建築学科教授 野澤 千絵 氏
昨年度に開催した事業のなかでも最も反響の大きかった空き家シンポジウムを本年度も開催した。昨年度は、設立したNPO法人出雲市空き家相談センターの認知度向上と増え続ける空き家が引き起こす様々な問題について市民の皆様に広く知っていただくことを目的としたところであるが、本年度は「人口は減っても持続可能な街にするには~これ以上空き家を増やさないために私たちができること」と題し、東洋大学理工学部建築学科教授の野沢千絵氏を講師に迎え、人口減少社会での都市計画の在り方を官民が一体となって考えていく重要性について、講演をいただくと共に講師を交えて座談会を開催した。
講演では、全国各地の事例をもとに無計画な郊外への宅地開発が引き起こす公共インフラ整備・維持等での財政圧迫と低地価の土地に建設された住宅が処分時に解体費用も捻出ができず、さらに放置される空き家を生み題していく可能性、または、都市部で供給が続く権利者が数十名にも及ぶ高層マンションなどの修繕・除去等におけるトラブル事例などをご紹介いただいた。
これらの問題の解決策として、下水道等の公共インフラ整備計画との整合性をもった特定用途制限区域の見直しの重要性について、多くの行政、商工業関係者などにも都市計画の重要性が認識できたものと考えている。
講演後は、当法人の小豆澤貴洋理事を進行役に、講演に引き続き野沢先生、NPO法人てごねっと石見の藤田貴子理事長、当法人の木村竜生副理事長と「近未来の処方箋~空き家活用の事例と課題~」をテーマに座談会を開催した。
藤田理事長から島根県江津市における空き家活用事例の発表、木村副理事長からは当法人の活動事例が発表され、それぞれに野沢先生から助言をもらい、今後の活動推進へのヒントをいただけたものと考えている。
この座談会で具体的な空き家の利活用についてお示しできたことは、空き家を抱える市民の皆様にとっても有意義なものとなり、本シンポジウムにあわせて設置した空き家相談ブースには、座談会終了後にも多数の参加者が相談に訪れた。
我々、NPO法人出雲市空き家相談センターとしても今後さらなる市民への啓発と行政との協働促進が必要であると実感できた事業となった。